FACTFULNESS(ファクトフルネス)という2019年上半期のビジネス書ランキング1位(TOPPOINT大賞という今注目のビジネス書を扱う月刊誌)になった本を読んでみました。
「私たちは知らないうちに間違っている」ということを簡単なクイズで知らせてくれた、今までに出会ったことがない書籍です。
本記事では、ファクトフルネスを読んで感じた思いとネットで情報を発信している1人の配信者としてどのように自分の発信する内容を扱うかについて考えてみたい。
動画で見てみよう
記事の内容を5分ぐらいの動画にして話してみました。
動画の中でしかしゃべっていないこともあるので、まずは見てみましょう。
自分が正しいという思いこみ
あなたは学生のころに社会の授業でならった世界の暮らし方というものを覚えていますか?
例えばこんなジャングルの奥深くで過ごしているような原住民的な生活を写真で見たことがあるかもしれない。
彼らは電気や水道といった私たちにとっては馴染みのあるものは使用しておらず、私たちが想像する原住民たる生活をしています。
きれいな水はなく泥水を遠くの池までくみにいったり、病気になった時の抗生物質も高くて買えないので病気のまま過ごして命を落としてしまう。
作物も日照りが続いたことによる不作や自然災害でダメになってしまったら、食べるものもなくて餓死するといった生活を想像するかもしれません。
ではここで質問です!
世界の人口のうち極度の貧困に苦しんでいる人は過去20年間でどのように変化しましたか?
A:約2倍に増えた
B:あまり変わっていない
C:半分ぐらいにまで減った
じらすつもりはないので、答えをいうとCである。
ちなみに正解率は統計をとった多くの国で10%程度でした。
不思議に思ったかもしれませんが、これが多くの人が陥ってしまう間違いの1例です。
確かに私たち日本人も第二次世界戦争直後は極貧の生活を余儀なくされていましたし、原住民ほどではないかもしれませんがAの分類に入っていたと思います。
今から20年前の1990年代の中国やインドも極貧に近い生活で、40%近くの人が苦しんでいました。
しかし、時代が変わって中国・インドをはじめとしてアジア諸国は高度に発展してきました。
私たちにとって貧しいイメージがこびりついているアフリカ諸国の中でもチュニジア・リビア・エジプトなどは乳幼児の死亡率が激減しています。
アフリカの中では現在5億人ほどの人々が貧困で悩んでいますが、全世界人口のなかでいうと6%ほどで決して多くはないと思います。
ではなんでこんな勘違いをしてしまうのかというと…
・学生のころにならった情報をアップデートできていないから。
・世界の情報を知る機会が多いテレビのニュースでは悪い方面の内容しか聞かないから
・いつまでも世界は変わらないままだと私たちが思い込んでしまっているから
当然ですが、常に新しい情報を手に入れない事にはあなたの考えも変わることはありません。
昔に習った時は確かに合っていた情報も10年もたてば変わっているのは当たり前だと思いませんか?
情報を発信する立場にいると、自分が受け取った情報が本当に正しいのか判断しないといけません。
判断の根底にあるのは昔に勉強した価値観をベースにしているので、今自分が使っている価値観自体が今の時代の流れにあっているかを適度に確認する習慣はつけないといけません。
昔に習ったことで今再びその情報を使うとなった時は再度調べなおしてみる癖は付けておいたほうが良いです。
目に見える数字が絶対の脅威だと思い込む
2020年になってコロナウイルスの問題がどんどん大きくなってきていますね。
先日韓国でのコロナウイルス感染者が1000人を超えたという情報がありました。
韓国中央防疫対策本部によると、26日午前基準で韓国の新型コロナウイルス感染症(コロナ19)の感染者が新たに169人増え、国内感染者が計1146人となった。
日本国内でも150人近くの感染者がでていて、不安しかない日々を過ごしているのもよくわかります。
しかしですがもう少し周りを見てほしい。
コロナウイルス感染者が150人・1000人と聞くと確かにすごく多いような数字に見えるのも仕方がないと思いますが、毎年話題になっているインフルエンザの今年の患者数って知っていますか?
国立感染症研究所が2/21に更新したデータによると2020年第7週の患者報告数は3万7198人だそうです。
国立感染症研究所が2月21日に更新したインフルエンザの流行マップによると、2020年第7週(2月10日~2月16日)の患者報告数は3万7198人。定点当たりの報告数は7.49で前週の9.04から減少した。
コロナウイルスの250倍近い人がインフルエンザで苦しんでいるってことはインフルエンザの心配しておいたほうがいいだろって思いませんか?
数字って恐ろしいもので単品で出されると2桁3桁の数字でも異様に大きな数字に感じてしまいます。
2015年、サメの被害にあった人の数は98人で最多数を記録したそうです。
この数だけを聞くと怖くて海に行きたくないって思う人も中に入るかもしれませんが、実際の死者数は6人です。
ちなみに同じ年のガン死亡数・羅患数予測は約37万人・98万人だそうです。
比べること自体がおかしい数字だと思いますが、知らず知らずのうちにあなたも数字に惑わされているかもしれないと考えたほうが良いですよ。
誰かを説得するときや情報を説明するときに数字を使うことはよくあります。
数字はリアルさを出したり理論的に説明できるので有効的な手段なのですが、読者が変な勘違いをするような言い回しや数字単独での使用は極力避けてください。
比較できる対象(過去の数字や類似のものを表す数字)を横に置いて、数字が表す意味をより詳細に理解できる工夫も忘れずに。
ここまでコロナウイルスやインフルエンザについての考えを述べてきましたが感染率や死亡率、治療体制なども絡んでくるので私もこれ以上は深く踏み込みません。
今述べた話も本当にあっているかはあなた自身の眼でしっかりと確かめてください。
このほかにもファクトフルネスの中には私たちが知らないうちに間違っている罠が紹介されています。
ファクトフルネスの著者、ハウス・ロスリングさんが実際にご自身で集めたデータをもとに世界を渡り歩いて世の中の間違った認識を少しづつ正していく道のりがファクトフルネスの中に詰まっていました。
TEDというアメリカのメディアが発信しているオンライン講演でハウス・ロスリングさんがしゃべっている動画を見つけました、ぜひ確認してみてください!
まとめ
多くの人は本能に従っているから間違える
情報を発信する立場なら情報は新しく更新し続けよう
紹介書籍
FACTFULNESS(ファクトフルネス)-10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
出版社: 日経BP (2019/1/11)
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣